究極の釣行記!『世界怪魚釣行記』
釣りとは、時としてその人の人生を変えてしまうものである。
中国の古い諺に、
一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。
三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。
八日間、幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。
永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。
というものがあるが、釣りを覚えたから一概に幸せになれるとは私は思いません。
もちろん、釣りの魅力を理解したなら、幸せになれるのかもしれない。
しかし、釣りとは時として人生を変えてしまうものなのである。それが幸せなのか不幸なのか、それはその人が死ぬ瞬間までわからないものだと思う。
こんなことを言っても、趣味で釣りをしている人にはピンとはこないだろう。
月々の小遣いの大半が釣具代に化けるようになっても、普通なら人生が変わることは無いはずだ。
ところが、私の周りには、釣りで人生を変えてしまった人が何人もいる。
釣りで人生が狂わされたのではない。釣りで人生が狂ってしまったのだ。
そんな私も、釣りで人生が狂ってしまった一人。
といっても悪い意味ではなく、きっといい意味で、だ。
サラリーマンを辞めて、完全にフリーで仕事をするようになったのは、ロシアへの遠征釣行がきっかけだった。
少し、私がフリーで仕事をするようになった経緯を話したいと思う。
当時、転職をして超ぬるま湯の様な会社に入社して、『幹部候補』というまったりと安定した人生を約束された様な状態だったのだが、某御大が憧れの地カムチャツカへ遠征に行くという話を聞き(今に思えば御大もたぶん冗談半分で『行かないのか?』と尋ねてきたのだと思うのだが)、生涯のうちでカムチャツカへアークティクチャーを釣りに行く機会などこれを逃したら無いだろうと思い、遠征への参加を表明したのだ。
しかし、会社へ1週間の休みを申請したところ、帰ってきた答えは『ならいなくてもいい』という言葉だった。
その会社は、デザイナーが2人で月刊誌を作っていたのだが、私にとっては自分1人でも1週間あれば出来てしまうレベルの本だったので、どう考えても1週間休みをとったところでおつりが来るくらいの作業レベルだった。
さらに、ぬるさは半端ではなく、大型台風が来ると、『電車が止まるかもしれないから、今日はこれで終わりにします』と午後3時に平気で宣言し、信じられないことに社員全員が帰宅するような会社だったのだ。
正直、あまりのぬるさに、『この会社に長くいたら、2度と潰しがきかなくなるな』と危機感を抱いていたので、この『ならいなくてもいい』という言葉は、まさに渡りに舟。笑顔での退社となった。
憧れのロシア釣行を経て、帰国後フリーとして一人で仕事を始めたのだが、この時の励みになったのが『あんなぬるい会社の社員でも生きていけるんなら、フリーでも十分やってけるんじゃないの?』ということだった。
いいのか悪いのか、この経験が今フリーで仕事を続けている礎となっている。あのレベルの仕事で食っていけるのなら、自分でこだわった仕事をすれば、十分生きていけると今現在は実感して生活できている。
話が自分のことになってしまったが、タイトルの『世界怪魚釣行記』へと話を戻そう。
私自身、前述のようにロシアへは遠征釣行へ行ったことがある。
まわりにも、アラスカへサーモンを釣りに行った人や、アムール川へアムールタイメンを釣りに行った人や、ミクロネシアへGTを釣りに行った人もいる。
海外の釣行と聞くと、『いいなぁ』と思うことはあっても、『スゲェ』と思うことは稀である。アラスカへサーモンを釣りに行ったところで、ツアーとして成り立っている場所であり、自分自身カムチャツカへ行ったときも現地ガイドによるサポートツアーだった。
いうなれば『スゲェ』ではなく、『凄い』レベルなのだ。
アムール川のタイメンはさすがに『スゲェ』と思ったが、日本にはさらに『スゲェ!』海外遠征釣行を行なっている人物がいる。
それが、世界怪魚釣行記の管理人、武石 憲貴氏だ。
このサイトは数年前から知っており、釣行記を読んでは『スゲェ!』と思っていたのだが、最近になって氏の釣行記が書籍化されたことを知り、さっそくAmazonで購入してみた。
ハッキリ言って、スゲェ!です。
釣り人なら、購入して絶対に損は無い一冊です。
よくロッドを口にくわえて写真を撮る人がいますが、氏の写真をみたら、国内の魚を釣って同じ様なポーズをしている人は、まず恥ずかしくなるんじゃないでしょうか?
釣りの本で、これほどワクワクして読めたものは近年ないんじゃないでしょうか?
書籍化するならできれば縦組にして欲しかったというのはありますが、各国での『釣行』の様子が、シンプルながらも臨場感溢れる言葉で綴られており、氏が体験した貴重な出来事を疑似体験できるような内容となっています。
武石憲貴氏とはもちろん面識はありませんが、一度お会いしてみたいです。
こんなワクワクするような釣りを、私もしてみたいですね。
この本を読んで、せめて日本に残された3大幻魚、琵琶湖大ナマズ、アカメ、イトウ(イトウはもう釣ってるからいいんだけど)をすべて釣ってみたい、と切に思いました。
ワクワクできなくなったら、釣りなんて面白くないですもんね。
永遠に幸せになるためには、この『ワクワク感』を一生忘れないようにすることが大切なんだな、と思わせられる、新しい憧れを抱かせてくれる本に出会えて、ちょっと幸せになった気分になりました。
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